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中世ダークファンタジー剣戟譚『LANCASTER《ランカスター》』連載中 © 2019 エンタメスタジオCre-eat

DARKSOULS《ダークソウル》から学ぶテキストの書き方

DarkSoul《ダークソウル》飛竜の剣のテキスト

概要:当記事では、テキストによる世界観の表現も卓越しているダークファンタジーアクションRPGゲーム『DARKSOULS《ダークソウル》』のテキストを分解して見ることで、テキストの書き方や技術力を上げようという記事になります。テキストの表現力を上げる事は、小説制作者や漫画制作者はもちろんのこと、ゲームクリエイター、ライター等にとって、生涯において必ず役に立つ技術だと考えています。そこで今回は、商業ゲームで実際に使用されたテキストを見ていくことで、テキスト能力の向上を図ろうという企画になります

 

DARKSOULS《ダークソウル》とは

中世ヨーロッパ的背景を舞台に、"剣"と"魔法"と"アイテム"を駆使して、

《死》を形容したような異形の者たちとの死闘を骨子にしたダークファンタジーアクションRPG。

それが、DARKSOUL《ダークソウル》です。

そして、以下はDARKSOUL《ダークソウル》の世界観となります。

 

古い時代

世界はまだ分かたれず、

霧に覆われ 灰色の色と大樹と、

朽ちぬ古竜ばかりがあった

だが、いつかはじめての火がおこり

火と共に差異がもたらされた

熱と冷たさと 生と死と

そして、光と闇と

そして、闇より生まれた幾匹かが

火に惹かれ、王のソウルを見出した

最初の死者、ニト

イザリスの魔女と、混沌の娘たち

太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち

そして、誰も知らぬ影の小人

それらは王の力を得、

古竜に戦いを挑んだ

グウィンの雷が、岩のウロコを貫き

魔女の火炎は嵐となり

死の瘴気がニトによって解き放たれた

そして、ウロコのない白竜、シースの裏切りにより、

遂に古竜は敗れた

火の時代の始まりだ

だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る

今や、火はまさに消えかけ、人の世には届かず、夜ばかりが続き

人の中に、呪われたダークリングが現れはじめていた…

『DARKSOULS REMASTERED』公式HPより引用

https://www.darksouls.jp/remastered/prologue.html

 

 

DARKSOULS《ダークソウル》のテキスト術

DarkSoul《ダークソウル》_盗賊の短剣

 

ダークソウルのテキストの特徴

DARKSOUL《ダークソウル》のテキストには、本作品のダークな世界観を表現するために、

ある技術を利用して描かれています。

その技術とは、"具体⇔抽象を利用することでイメージをしやすくする"という技術です。

具体とは、その姿/形を表現すること。

そして、抽象とは、概念的なものとして表現することとなります。

DARKSOUL《ダークソウル》のテキストは、この抽象具象を上手く利用することで、

武器のテキストひとつとっても単なる無機物としての武器の説明ではなく、

人/歴史など背景がありありと想起できる活き活きとした有機的なテキストに昇華しています。

 

具体⇔抽象のサンドイッチという表現技法

それでは、この技術が実際にどう使われているのかを見てみましょう。

以下は、DARKSOUL《ダークソウル》の武器のテキストフレーバーです。

 

幅広の刃を持つ片刃の短刀
斬りつけることを主眼とした武器であり
その刃には、出血を強いる細工が施されている
盗人や追いはぎなど、賤しい者たちの武器

DARKSOULⅢ《ダークソウルⅢ》から 盗賊の短刀より引用

 

ここでは、まず『幅広の片刃の短刀』という具体的な事を提示しています。

この段階では、まだ説明文くさいテキストから抜けていません。

しかし、次の一文では、『斬りつけることを主眼とした武器』という抽象化を加えることで、

"それまでの無機質な物体"から"動きのある動的な物体"へ変えています。

これにより、この盗賊の短刀という武器が、頭の中でイメージしやすくなったかと思います。

ここまでのテキストでも、どういう武器でどういう使われ方がするのか、

なんとなく把握できたと思います。

しかし、これだけだと、その武器特有の匂いや味がしてきません。

テキストフレーバーというからには、やはり匂いを出さなくてはならない訳で。

そこで、次の一文で、再び具体化に戻ります。

その刃には、出血を強いる細工が施されている』という具体化を加えることで、

先程よりも丁寧に武器の形状の説明をします。

すると、どうでしょう。

なんか嫌らしい卑怯な武器に見えてきませんでしたか?

どんな奴が持っているのか、装備しているのかが見えませんか?

これが匂いみたいなものです。

本来なら、ここで匂いが出てきているので、武器のテキストとしてはここで終えても良い。

しかし、ここでは終わらず、次の一文で更に抽象化を加えています。

盗人や追いはぎなど、賤しい者たちの武器』という抽象化を加えることで、

この武器の悪どさや狡猾さ、持つ者の人柄などが見えてきました。

このように、DARKSOUL《ダークソウル》では、

具体⇒抽象⇒具体⇒抽象というサンドイッチにして重層的に物の説明を加えることで、

見事にイメージのしやすいテキストフレーバーに仕上げています。

 

テキスト力を上げるためのテクニック

具体⇒抽象⇒具体⇒抽象のサンドイッチにして重層的に説明を加えることで、

イメージのしやすいテキストにする

 

DARKSOULS《ダークソウル》の秀逸なテキスト一覧

以下には、DARKSOUL《ダークソウル》にて、筆者の好きなテキストをまとめてみました。

どれも非常に表現力の高いテキストだと思います。

これらのテキストを見ていくことで、自らのテキスト能力を陶冶できればと思います。

他の小説制作者、漫画制作者、ゲームクリエイター、ライターさん達にとっても、

有益なものになれば幸いです。

 

アストラの直剣

亡国の名で呼ばれる上質の剣

没落したアストラは、かつて貴族の国であった

この武器はその名残、遺産であるのだろう

DARKSOULⅢ《ダークソウルⅢ》から アストラの直剣より引用

 

この武器は、具体⇒抽象で表現していますね。

このテキストの良い所は、別に「豪華」とか「高級」とか言っていないのに、

「亡国」「貴族」「遺産」といった背景を説明することで、

この武器がいかに希少かについて説明している所だと思います。

お宝感があって非常に心が躍るテキストになっていますね。

 

エストのかけら

エストの染み付いた破片

祭祀場の鍛冶屋に渡すことで
エスト瓶の使用回数を増やす

古来エスト瓶は不死と共にあり
これは砕かれた希望なのだろう

DARKSOULⅢ《ダークソウルⅢ》から エストのかけらより引用

このアイテムは、体力を回復するアイテムとなり、

各ステージで拾って集めるアイテムになります。

その事を『古来エスト瓶は不死と共にあり これは砕かれた希望なのだろう』という

表現で纏めている所が秀逸だと思っています。

 

抗呪の大盾

かつて呪いに抗する者に渡された大盾

その重さは尋常な者に扱えるはずもなく
故に呪いに抗する愚かさを伝えたという

だが仮にこれを扱える者があれば
呪いへの大きな備えとなるだろう

DARKSOULⅢ《ダークソウルⅢ》から 抗呪の大盾より引用

防具の説明文です。

”盾の重厚感や重量感”と”呪いの重み”を並べることで、

この世界での呪いの強さがいかに強いかを説明しつつ、

同時にこの大盾はそんな呪いにさえ抗することができる、という事を説明することで、

逆説的に盾の強さを証明する、という、かなり巧みなテキストだと思います。