概要:『ハリウッド脚本術』から「物語の作り方・コツ」について紹介!
プロフィール:わたなべ りょう
▼略歴
・明治大学政治経済学部卒
・株式会社カプコンに4年半勤務
・ゲームプランナー/アクションプランナー
・フリーランスとして独立
・特技は「テコンドー」「カポエイラ」
▼制作実績
・モンスターハンター ライズ
・モンスターハンター エクスプロア
・小説「LANCASTER《ランカスター》」
当ブログは、現役ゲームクリエイターの視点から、 以下情報について発信するブログとなります。
・最新のエンタメ業界に関するニュース
・クリエイターのライフスタイル×ワークスタイル
物語の作り方について興味のある方は、以下書籍を見てみてください。
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味①:物語の本質は「葛藤」を描くこと
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味②:物語は三幕構成から成る
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味③:バックストーリー
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味④:内的な欲求
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑤:キッカケとなる事件
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑥:主人公の目的
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑦:準備
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑧:対立
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑨:自分をハッキリと示す
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑩:オブセッション
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑪:闘争
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑫:解決
- 本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味:まとめ
- ダークファンタジー小説「LANCASTER《ランカスター》」
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味①:物語の本質は「葛藤」を描くこと
物語は「葛藤」です。
葛藤は、ほかの誰かとの対立から生じます。対立する相手は、目に見える敵だけではなく、自分自身の場合もあります。
重要なのは、この対立によって、主人公に重要な変化がもたらされるということ。
つまり、主人公は、対立から生じる葛藤を通じて、前とは違った自分に成長します。
例えば、以下の通りです。
- 逃げてばかりの臆病な勇者が恐ろしい魔王に立ち向かう
- 魔王との戦いを通じて「勇気」を身に付ける
このように、物語とは、対立から生じる葛藤を経て、今までの自分とは違う成長した自分を見せるものとなります。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味②:物語は三幕構成から成る
物語の大枠は、以下の三幕構成から成ります。
第一幕:問題
第一幕では、主人公や主人公を取り巻く環境に問題があることを提示します。
観客は「この問題をどう解決するのか」に興味を持ちます。
例えば、以下の通りです。
- 魔王によって滅亡の危機にある世界
- 返済しきれない大量の借金を抱える主人公
このように、第一幕では、主人公や主人公を取り巻く環境が抱える問題を提示します。
第二幕:恐怖
第二幕では、主人公は「内的な恐怖」に向き合います。
内的な恐怖とは、成長・変化することに対する怖さのこと。
例えば、以下の通りです。
- 逃げてばかりの臆病な勇者が恐ろしい魔王に戦いを挑む
- 勝てば億万長者、負ければ死ぬ、一発逆転のギャンブルに挑む
このように、第二幕では、変化・成長することに対する怖さに向き合いつつ、目的に向かう主人公の姿を見せます。
第三幕:解決
第三幕では、主人公は「内的な恐怖」を克服して「問題」を解決します。これにより、今までとは違う成長した自分に変わります。
例えば、以下の通りです。
- 臆病な勇者が恐ろしい魔王を倒して「勇気」を身に付ける
- 死の恐怖を乗り越え、一発逆転の賭博に勝ち、「億万長者」になる
このように、第三幕では、問題を解決して成長した主人公の姿を見せます。観客は、成長した主人公の姿を見て、満足します。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味③:バックストーリー
バックストーリーとは、変化前の主人公を見せる場面のこと。
例えば、以下の通りです。
- 異世界に行く前の現実世界での日常生活
- 空から女の子が降ってくる前の日常生活
- 化物や魔法使いと出会う前の日常生活
このように、バックストーリーとは、キッカケとなる出来事が起こる前の日常のことです。
尚、バックストーリーは、必ずしも描く必要はないです。なぜなら、詳細な説明は、時に物語の勢いを失わせる可能性があるため。
最初から異世界での生活から始まっても問題はありません。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味④:内的な欲求
内的な欲求とは、欠けている個人の特質・性質を取り戻そうとする欲求のこと。
すなわち、自分には足りない自立心、行動力、勇気などを取り戻そうする気持ちです。
主人公は、無自覚または強制的に、この自分に欠けているものを取り戻そうとします。
例えば、以下の通りです。
- 異世界に行く前は「無気力」で「自堕落」だった主人公。
- 異世界に行くことで、「自発的」に「行動」を求められるようになる。
このように、自己の欠如⇒自己の回復の構造が内的な欲求となります。
多くの主人公は、何かが欠けていて、それを補うために行動をします。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑤:キッカケとなる事件
キッカケとなる事件では、主人公の前に「解決すべき問題・課題」が現れます。
例えば、以下の通りです。
- 現実世界から異世界に行ってしまう
- 空から女の子が降ってくる
- 化物や魔法使いと出会ってしまう
主人公は、このキッカケとなる事件を無視して生活をしようとしても、それはできません。
なぜなら、主人公の人生は、ここで大きく変わらざるをえないためです。
主人公は、必ず、この問題に向き合わなければなりません。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑥:主人公の目的
主人公の目的とは、キッカケとなる事件を通じて、目的を定める場面のこと。
つまり、問題を解決するための解決策を出します。
例えば、以下の通りです。
- ある日、気がつくと、見知らぬ異世界にいた。
- 再び現実世界に戻ることを決意する。
このように、主人公は、キッカケとなる事件を通じて、目的を定めます。
主人公は、この目的を達成するために行動します。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑦:準備
準備とは、目的を達成するための戦略を練る場面のこと。
例えば、以下の通りです。
- 異世界から現実世界に帰るために町人等から情報収集をする
このように、主人公は、目的を達成するための準備をします。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑧:対立
対立とは、敵対勢力と対立する場面のこと。
対立は、緊張感や期待を生み、物語を面白くします。
例えば、以下の通りです。
- 異世界から現実世界に戻ろうとする主人公。
- しかし、異世界の大きな争いに巻き込まれていく。
このように、主人公の目的は、簡単には達成できません。
なぜなら、簡単に達成できてしまうと、つまらないためです。
そのため、こうした邪魔や障害を必ず発生させる必要があります。
尚、敵対者は、主人公より強い存在でなければなりません。なぜなら、簡単に倒せてしまうと、対立にならないためです。
よい敵対者とは、以下の通りとなります。
・主人公とは相容れない目的を持つ
・主人公よりも肉体的組織的に強い存在である
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑨:自分をハッキリと示す
自分をハッキリと示すとは、内的な欲求に本格的に取り組む場面のこと。
つまり、主人公は、対立を通じて、今まで自分に欠けていた「勇気」「自立心」などを取り戻そうとします。
例えば、以下の通りです。
- 現実世界から異世界に来てしまった主人公は、異世界の大きな争いに巻き込まれることで、現実世界では見せなかった「勇気」「行動」を見せ始めます
このように、主人公は、対立を通じて、自分に足りないものを取り戻そうとする試みを行っていきます。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑩:オブセッション
オブセッションとは、目的を遂に果たそうとする場面のこと。
つまり、主人公は、自分の願いや目的をようやく達成しようとします。
例えば、以下の通りです。
- 異世界から現実世界に帰れる方法を知った主人公は遂に、現実世界に帰れるというゲートの下へ向かう。
このように、主人公は、当初定めていた目的をようやく達成しようとします。
しかし、そう簡単には、この目的は達成できません。
なぜなら、最後の山場として、最終決戦が控えているためです。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑪:闘争
闘争とは、主人公と敵対者との最終決戦の場面のこと。敵は、全力で主人公の目的を阻止しようとします。
例えば、以下の通りです。
- 異世界の一部住人は、主人公が現実世界に戻ることで、この異世界の存在をほかにも知られてしまうことを恐れ、主人公がゲートを使って帰ることを全力で邪魔する
このように、闘争では、まさしく生死を賭けて戦います。
この負けた際の代償が大きくなればなるほど、盛り上がりも大きくなります。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味⑫:解決
解決とは、主人公の葛藤を解決する場面のこと。
つまり、主人公は目的を果たし、もう悩みのない状態になります。
例えば、以下の通りです。
- 現実世界から異世界に来てしまった主人公は、敵との最終決戦に勝ち、ようやくゲートを使って、現実世界へ戻る。
このように、主人公は、目的を果たし、抱えていた葛藤を解決します。
ここで重要なのは、主人公はもう過去の自分ではないということです。
すなわち、今まで欠けていた勇気や行動力等を取り戻して、成長した状態になります。
観客は、この成長した主人公の姿を見て、満足して、物語は終わります。
本『ハリウッド脚本術』から学ぶ小説の書き方・意味:まとめ
それでは、以下おさらいです。ぜひ覚えて使ってみて下さい。
物語の作り方1.バックストーリー
変化前の主人公を見せる場面のこと
物語の作り方2.内的な欲求
欠けている個人的特質を取り戻そうとする欲求のこと
物語の作り方3.キッカケとなる事件
解決すべき問題や課題が現れる場面のこと
物語の作り方4.主人公の目的
キッカケとなる事件を通じて目的を設定する場面のこと
物語の作り方5.準備
目的を達成するための準備をする場面のこと
物語の作り方6.対立
主人公の目的を邪魔する敵が出現する場面のこと
物語の作り方7.自分をハッキリと示す
内的な欠如の回復に取り組む場面のこと
物語の作り方8.オブセッション
主人公が目的を遂に達成しようとする場面のこと
物語の作り方9.闘争
目的を遂に達成しようとする主人公に対して、敵側が最後の邪魔をする場面のこと
物語の作り方10.解決
主人公は目的を達成して葛藤を解決する場面のこと