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中世ダークファンタジー剣戟譚『LANCASTER《ランカスター》』連載中 © 2019 エンタメスタジオCre-eat

『ハリウッド脚本術』から学ぶ物語の作り方・コツ

『ハリウッド脚本術』から学ぶ物語の作り方・コツ

概要:今回は、脚本術の超ロングセラー『ハリウッド脚本術』より、物語の作り方・コツについて学習する記事となります。

 

 

こんにちは、綾崎あやめです。

ゲームデザイナーとして4年間ほどテキスト制作等の業務をしています。

 

 

あなたの物語は、読者を惹きつけられる物語になっていますか?

この記事を読んだ後は、物語の理論に基づいた面白い物語を作れるようになります。

 

 

 

以下参考文献:

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

ストーリーメーカー創作のための物語論

 

 

 

 

 

 

物語の作り方・コツは「葛藤」を描くこと

 

物語は、「葛藤」です。

すなわち、物語とは、ほかの誰かとの対立を描いた話になります

対立する相手は、目に見える敵だけではなく、自分自身の場合もあります。

 

 

重要なのは、この対立によって、主人公に重要な変化がもたらされるということです。 

例えば、『千と千尋の神隠し』では、こんな感じでした。

 

 

 

千尋は、両親のいない世界にて、湯婆婆との対立を経て、初めて勇気と自立心を身に付けます。

こうして幼い少女から一人の女性として成長して、現実世界に戻ります。

 

 

 

千尋は、湯婆婆との対立を通じて、少女から大人の一歩を踏み出しました。

つまり、対立(葛藤)を経て、今までの自分とは違う成長した自分になる、ということです。

 

 

尚、『SAVE THE CATの法則』から学ぶ物語の作り方では、

物語とは、主人公の《変化前》と《変化後》を見せることでした。

 

 

 

 

 

 

 

  

物語は三幕構成から展開される

 

物語は、以下の三幕構成から展開されます。

 

 

誘因(観客の注意を引き付ける)

 

 

 

第一幕では、主人公に問題があることを提示します。

例えば、千尋でいえば、「豚になった両親をどうやって助けるか」が誘因に当たります。

観客は、この主人公の直面する問題に興味を引き付けられます。

 

すなわちこの困難からどうやって脱出するのか見てみたいと思わせる必要があります。

 

 

 

 

期待(もっと面白いことが起こるだろうという期待)

 

 

 

第二幕では、主人公は、対立(葛藤)を通じて、「内的な恐怖」に向き合います。

内的な恐怖とは、成長・変化することに対する怖さです。

 

例えば、千尋は、外敵となる湯婆婆との対立を通じて、

親のいなくなった世界で初めて自立心と行動力が求められます(=内的な恐怖)。

 

読者は、この内的の恐怖を乗り越えて、目的に向かう主人公の姿に期待を寄せます。

 

 

 

 

満足(外敵と内的な恐怖に打ち勝つ)

 

 

 

第三幕では、主人公は、「外敵」と「内的な恐怖」に打ち勝つことで、

今までとは違う成長した自分に変わります。

 

例えば、千尋は、親のいない世界にて、自分を奮い立たせて自立と行動することで、

内的な恐怖を乗り越え、外敵となる湯婆婆に打ち勝ちます。

その結果、千尋は、今までの幼い少女から、少しだけ成長した大人の女性になります。

 

 

 

 

以上、物語の大枠の構成の話でした。

以下からは、物語の中身の作り方について細かく見ていきます。

 

 

 

 

 

 

物語に必要な10の要素~物語を書く~

 

『ハリウッド脚本術』では、物語は、以下10の要素から構成されます。

 

 

 

物語の構成1:バックストーリー

 

バックストーリーとは、物語の状況や設定のことです。

つまり、変化前の主人公を見せる場面になります。

 

例えば、千尋でいえば、別世界に行く前の現実世界での生活がバックストーリーに当たります。

 

 

言い換えれば、バックストーリーとは、

事件、事故などキッカケとなる出来事が起こる前の日常のことを言います。

 

 

尚、バックストーリーは、必ずしも描く必要はないです。

なぜなら、詳細な説明は、物語の勢いを失わせる可能性があるためです。

 

例えば、海外ドラマ『LOST』では、謎の無人島にて目が覚めるシーンから始まります。

どうやってここに来たのか、なぜここにいるのか等の詳細な説明はありません。

 

 

 

 

 

 

物語の構成2:内的な欲求

 

内的な欲求とは、成長する前の主人公にはない「勇気」「自立心」「思いやり」など、

欠けている個人の特質・性質を取り戻そうとする欲求のことです。

すなわち、主人公は、無自覚または強制的に、この自分に欠けているものを取り戻そうとします。 

 

千尋は、現実世界では、新しい転向先に行きたくないと愚痴をこぼす少女でした。

しかし、親のいない世界に行くことで、強制的に「自立」と「行動」を求められます。

 

この欠如⇒回復の構造が内的な欲求となります。

 

 

 

 

 

物語の構成3:キッカケとなる事件

 

キッカケとなる事件とは、主人公の前に「解決すべき問題・課題」が現れる場面のことです。

例えば、千尋でいえば、両親が豚になってしまう場面がキッカケとなる事件でした。

 

主人公は、その出来事を無視して生活をしようとしても、それはできません。

つまり、主人公の人生は、キッカケとなる事件を通じて、大きく変わらざるをえません

 

 

 

 

 

 

物語の構成4:外的な目的

 

外的な目的とは、キッカケとなる事件がもたらした問題を解決するための目的のことです。

例えば、千尋でいえば、「豚になってしまった両親を助けること」が外的な目的になります。

 

すなわち、主人公は、問題の答えとして、外的な目的を定めます。

 

 

 

 

 

 

物語の構成5:準備

 

準備とは、外的な目的を達成するための戦略を練る場面のことです。

具体的には、資金、道具、仲間を集めたり、力を付けるための修行をしたり等です。

 

例えば、千尋でいえば、ハク、窯爺、リンの力を借りて、湯婆婆の下へ向かいます。

 

 

 

 

 

 

物語の構成6:対立

 

対立とは、敵対勢力と対立する場面のことです。

この対立によって生じる緊張感・期待こそ、物語を劇的なものに変えます。

例えば、千尋は、両親を豚に変えた湯婆婆と最終的に対立することになります。

 

 

尚、敵対者は、主人公より強い存在でなければなりません。

なぜなら、簡単に倒せてしまうと、対立にならないためです。

 

 

よい敵対者とは、以下の通りです。 

・主人公と同じ目的を持つ or 主人公とは相容れない目的を持つ

・主人公よりも肉体的 or 継続的 or 組織的に強い存在である

 

 

 

 

 

 

物語の構成7:自分をハッキリと示す

 

自分をハッキリと示すとは、内的な欲求に取り組む場面のことです。

つまり、主人公は、対立を通じて、今までに自分に欠けていた「勇気」「自立心」など、

内的な欠如の回復に取り組みます。

 

 

例えば、千尋は、ハクを助けるために、恐ろしいとされる魔女の銭婆の所へ向かいます。

今回は、湯婆婆の所に向かう時とは違って、自分の意志で決断して行動します。

すなわち、千尋は、自分に欠けていた「勇気」「自立心」の回復に向かいます。

 

 

 

 

 

 

物語の構成8:オブセッション

 

オブセッションとは、外的な目的に向かう場面のことです。

外的な目的とは、物語の構成4「外的な目的」で設定した目的のことです。

ここでは、自分をハッキリと示した主人公は、外的な目的に取り組みます。

 

 

例えば、銭婆の下に向かうことで勇気と行動を示した千尋は、

「豚になった両親を助ける」という外的な目的のために、

ハク、銭婆、ネズミの坊、ダルマの力を借りて、再び湯婆婆の下へ向かいます。

 

 

 

 

 

 

物語の構成9:闘争

 

闘争とは、いよいよ、主人公と敵対者との最終戦闘の場面のことです。

両者は、それぞれの目的のために、決着が着くまで戦います。

 

 

例えば、千尋は、湯婆婆から「この中からお前のお父さんとお母さんを見つけな」と、

目の前に並べられた豚の前に立たされます。

見つけられれば、呪いは解け、千尋たちは自由になれます。

しかし、見つけられなければ、一生この世界で働かなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

物語の構成10:解決

 

解決とは、キッカケとなる事件によって生じた葛藤を解決する場面のことです。

ここで重要なのは、内的な変化を遂げた主人公は、もう過去の自分ではないということです。

 

例えば、千尋は、湯婆婆との闘争に勝つことで、両親を人間に戻して現実世界に帰ります。

現実世界に帰った千尋は、今まで欠けていた勇気・自立心を持った女の子に成長しています。

 

 

 

 

 

物語の構造分析から物語の創作をしてみよう

 

それでは、最後にまとめです。

以下物語の構造を分析することで、面白い物語の作り方を身に付けられます。

 

 

 

1.バックストーリー(変化前の主人公を見せる)

2.内的な欲求(欠けている個人的特質を取り戻そうとする欲求)

3.キッカケとなる事件(解決すべき問題が現れる)

4.外的な目的(上記問題を解決するための目的)

5.準備(目的を達成するための準備をする)

6.対立(敵と対立します)

7.自分をハッキリと示す(内的な欠如の回復に取り組む)

8.オブセッション(外的な目的に向かう)

9.闘争(敵との最終決戦)

10.解決(目的を達成する)

 

 

この物語の構造を覚えれば、

今後、物語を作る際に悩まずに面白い物語が作れるようになると思います。

 

ぜひ、覚えて使ってみて下さい!