概要:『売れる作家の全技術』から「キャラクターの作り方」について紹介!
プロフィール:わたなべ りょう
▼略歴
・明治大学政治経済学部卒
・株式会社カプコンに4年半勤務
・ゲームプランナー/アクションプランナー
・フリーランスとして独立
・特技は「テコンドー」「カポエイラ」
▼制作実績
・モンスターハンター ライズ
・モンスターハンター エクスプロア
・小説「LANCASTER《ランカスター》」
当ブログは、現役ゲームクリエイターの視点から、 以下情報について発信するブログとなります。
・最新のエンタメ業界に関するニュース
・クリエイターのライフスタイル×ワークスタイル
尚、小説の書き方について更に学びたい方は、ぜひ以下書籍をみてください。
▼本書の特徴
・プロの小説家から"小説の書き方全般"について学べる
・"会話の書き方"について深く学べる
- キャラクターの作り方1:読者はキャラクターの変化の過程に感情移入する
- キャラクターの作り方2:「意外性」で記憶に残るキャラクターを作る
- キャラクターの作り方3:激しい感情を描く
- キャラクターの作り方4:キャラクターを追い込む
- キャラクターの作り方5:キャラクターは論理的であるべき
- キャラクターの見せ方:人物の背景や過去を「会話」で描く
- キャラクターの見せ方:地の文で性格を描写しない
- キャラクターの見せ方:言葉遣いでキャラクターの個性を表現する
- まとめ:キャラクターの作り方&見せ方
- ダークファンタジー小説「LANCASTER《ランカスター》」
キャラクターの作り方1:読者はキャラクターの変化の過程に感情移入する
キャラクターを描くということは、キャラクターを通じて、読者に「感情移入してしまうような出来事」を体験させることです。
例えば、以下の通りです。
・鬼滅の刃
鬼によって家族を奪われる⇒だから鬼を滅する
・デスノート
自由自在に他人の生死を決められるノートを拾う⇒だから、法では裁けない悪人を消す
このように、読者は、キャラクターが経験した出来事を通じて、自分もそのキャラクターと同じように一喜一憂することで、そのキャラクターに感情移入するようになります。
キャラクターの作り方2:「意外性」で記憶に残るキャラクターを作る
意外性を持ったキャラクターは、読者の記憶に残りやすくなります。
例えば、以下の通りです。
・善人だと思っていた人は、実は悪人だった
・強いと思っていた人は、実は弱かった
・大富豪だと思っていた人は、実は貧乏だった
このように、キャラクターに意外性を持たせることで、読者の記憶に残りやすくなります。
キャラクターの作り方3:激しい感情を描く
キャラクターの個性は、「激しい感情に襲われた際にどんなリアクションをするか」によって顕著に表れます。
例えば、目の前で親友がいじめられていた場合、キャラはどのような行動を取るでしょうか。
取る行動によって、以下の通り、性格が如実に現れます。
- 親友を助けるためになりふり構わず飛び出すのか(勇気あるキャラクター)
- 内心は怒りを覚えているけど怖くて踏み出せないのか(臆病なキャラクター)
- 冷静に状況を判断してから行動するのか(冷静なキャラクター)
このように、キャラクターの個性は、感情の高ぶる場面において、ひときわ表出されます。
キャラクターの作り方4:キャラクターを追い込む
キャラクターを描くとは、「変化の過程を見せること」でした。
読者は、キャラクターの変化の過程に共感して、そのキャラクターを好きになります。
この変化の過程を見せるコツは、キャラクターを厳しい状況に追い込むことです。
つまり、 キャラクターを「変わらざるをえないほどの状況」に追い込んで下さい。
例えば、空から急に女の子が落ちて来たり、今まで見たことのない化物が急に襲ってきたり等。
キャラクターの作り方5:キャラクターは論理的であるべき
現実の人間は、非論理的な存在です。
甘い物が嫌いな人でも、ふとした弾みで甘い物を食べることはあるでしょう。
しかし、キャラクターの論理には、一貫性が要求されます。
例えば、以下の通りです。
悪事を見て見ぬふりできない正義感の強いキャラクターがいたとします。
現実の人間なら、正義感が強くても、見て見ぬふりをする日があるかもしれません。しかし、キャラクターにおいては、特別な理由がない限り、見て見ぬふりはしません。
このように、キャラクターは、自身の設定に忠実であるべきです。
なぜなら、キャラクターの論理がブレてしまうと、嘘くさくなるためです。「このキャラ、こんなことをしないよな……」と。
もし、論理が崩れるとすれば、そこには必ず理由がなくてはなりません。
例えば、正義感の強いキャラクターが悪事を見過ごすことがあれば、それは「一人では手に負えないから」「尾行する必要があるから」等。
キャラクターの見せ方:人物の背景や過去を「会話」で描く
会話によって「キャラクターの過去」について明らかにする手法のことです。
つまり、会話の中に回想シーンを描く、ということです。
会話にすることで、読者は飽きずにキャラクターの過去を知ることができます。
例えば、以下の通りです。
A「その傷はどうしたの?」
B「実は……」
このように、回想シーンに入るキッカケさえ作れば、あとは語るだけとなります。
これにより、読者は、すんなりとそのキャラクターの過去を知ることができます。
キャラクターの見せ方:地の文で性格を描写しない
キャラクターの性格を書く際は、地の文に「彼は〇〇な人間だ」と書くようなことはしないでください。
なぜなら、地の文でそう言われても、共感し辛いためです。
例えば、以下の通りです。
・彼女は美少女だ
・彼女が通り過ぎる度、男たちは振り返り、惚けた表情で彼女の背中を見つめた
このように、キャラクターの性格は、会話や行動を通じて見せて下さい。
その方がより読者に納得して貰いやすくなります。
キャラクターの見せ方:言葉遣いでキャラクターの個性を表現する
キャラクターの個性は、一人称・言葉遣いによって表現することができます。
例えば、以下の通りです。
私:大人の女性、しっかりした女性の印象(男の場合は真面目な印象)
俺:若い男性、 くだけた感じ(女の場合は「勝気」「ボーイッシュ」な印象)
僕:大人しい男性、真面目な印象(女の場合は「朴訥」とした印象)
儂:年寄り、年増の印象
~だわ:女性らしい女性ことば。
~じゃ:老人らしい老人ことば。
~ある:外国人(特に中国人)などを表現する際に使用することば。
このように、キャラクターごとに一人称・言葉遣いを分けることで、それぞれキャラクターごとに個性分けをすることができます。
まとめ:キャラクターの作り方&見せ方
以下おさらいです。
ぜひ覚えて、キャラクターを作る際に活かしてみて下さい。
・キャラクターを描くとは、キャラクターの変化の過程を描くこと
・読者は、キャラクターの変化の過程に共感する
・変化の過程を見せるコツは、キャラクターを追い込むこと
・キャラクターの個性は、感情の高ぶる場面において表出される
・キャラクターの個性は、一人称・言葉遣いによって表すことができる
・性格は、会話や行動を通じて見せる
・キャラクターは、論理的であるべき
・キャラクターの過去は「会話」の中で描く
・「意外性」は記憶に残りやすい
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