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『隻狼』から学ぶフレーバーテキストの作り方

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『隻狼』から学ぶフレーバーテキストの作り方

概要:この記事では『隻狼』から学ぶフレーバーテキストの作り方について紹介!

 

 

プロフィール:わたなべ りょう 

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▼略歴
・明治大学政治経済学部卒

・株式会社カプコンに4年半勤務

・ゲームプランナー/アクションプランナー

・フリーランスとして独立

・特技は「テコンドー」「カポエイラ」

 

▼制作実績

・モンスターハンター ライズ

・モンスターハンター エクスプロア

・小説「LANCASTER《ランカスター》」

 

当ブログは、現役ゲームクリエイターの視点から、 以下情報について発信するブログとなります。

 

・最新のエンタメ業界に関するニュース

・クリエイターのライフスタイル×ワークスタイル

 

 

 

この記事は、下記の方に向けて書いています。

 

・ゲームクリエイターになりたい方

・シナリオライターになりたい方

・ゲーム業界に興味のある方

 

それでは、早速、『隻狼』のフレーバーテキストの作り方について見ていきましょう!

 

尚、語彙・表現について増やしたい方は、ぜひ以下書籍を覗いてみてください。

▼本書の特徴

・普段あまり目にしない格調高い日本語について学べる

・シナリオ/テキストに使いたいと思える表現を見つけることができる

 

 

フレーバーテキストとは

 

ゲーム内に登場する事物に対する説明文のこと

 

以下は、実際の『隻狼』のフレーバーテキストです。

 

忍術「血刀の術」

 

血を刀に纏わせる忍殺忍術

形代を消費して、使用する

纏った血の剣閃で、刀攻撃の射程が伸びる

殺した者の血を、呪いの刃とする秘術

不死斬りの介錯を通し、

狼はこれを見出した

ゆえにこの技は、不死斬りに似ている

だが、死なずを殺す力までは無い

 

義手忍具「仕込み槍」

 

形部の折れ角を仕込んだ義手忍具

形代を消費して使用する

柄の長さを活かした突き攻撃を繰り出す

攻撃をあてたのち、軽い敵を引き寄せる

大柄な者は、往々にして身に合わぬ鎧を

無理に着込むことがある

そうした鎧ならば、容易く引き剥がす

世に言う、形部の鎧剥ぎよ

 

フレーバーテキストは、基本的にゲームの世界観(雰囲気)を醸し出しつつ、武器・アイテムの使い方などの説明を行います。

 

尚、フレーバーテキストの書き方のコツについては、以下記事にまとめています。まず初めに見てください。

 

 

フレーバーテキストの作り方について

 

フレーバーテキストを書く際に重要なことは、そのテキストで「何を一番伝えたいのか(コンセプト)」を決めることです。

 

なぜなら、伝えたいことを意識しないでテキストを書いてしまうと、何を伝えたいか分からなくなってしまうためです。

 

「何を一番伝えたいのか」を考えた上で、フレーバーテキストを書いてください。

 

それでは、『隻狼』にて、実際にどのようにフレーバーテキストが書かれていたかについて見ていきましょう。 

 

 

フレーバーテキストの作り方1:霧がらす【隻狼】


霧がらすとは、プレイヤーが腕に付ける義手忍具と呼ばれる装備のことです。

 

この霧がらすを使うことで、敵の攻撃を回避して、指定した場所に瞬間移動できます。

 

霧がらすの一番伝えたいことは「回避する」という能力です。この回避能力を伝えるために、フレーバーテキストの中に以下の情報を書いていました。

 

霧がらすの羽を、束ねたもの

忍義手に仕込めば、義手忍具となる

葦名より北に離れた薄井の森には、

正体掴めぬ猛禽が棲む

中でも霧がらすは、確かにいるが、

捕らえた者はおらぬ

捕まえたとて、

羽を残して消えてしまうのだ

 

『隻狼』より引用

 

いずれの情報も「姿を捉えられない」という情報になっていることが分かります。

 

これにより、読者に「この武器がいかに回避に長けた武器か」を印象づけていました。

 

 

フレーバーテキストの作り方2:飛び猿の忍び斧 【隻狼】

 

飛び猿の忍び斧とは、プレイヤーが腕に付ける義手忍具と呼ばれる装備のことです。

 

この斧を使うことで、敵を大きく怯ませることができます。

 

この斧の一番伝えたいことは「叩き潰す」という能力です。叩き潰す能力を伝えるために、フレーバーテキストの中に以下3点の情報を書いていました。

 

忍びの使う重い黒鉄の斧

忍義手に仕込めば、義手忍具となる

無骨なこれは、斬るというよりは

その重さで叩き壊すためのものだ

落ち谷の飛び猿と呼ばれた忍びが、

かつて愛用した忍具 だが飛び猿は、

左の腕と共にこれを失った

 

『隻狼』より引用

 

いずれの情報も「叩き潰すこと」に関連した情報になっていることが分かります。

 

これにより、読者に「この武器は斬るのではなく叩き潰す武器」だと印象づけていました。

 

 

フレーバーテキストの作り方3:錆び丸【隻狼】

 

錆び丸とは、プレイヤーが腕に付ける義手忍具と呼ばれる装備のことです。錆び丸で斬りつけることで、敵を毒状態にすることができます。

 

この武器の一番伝えたいことは「毒々しさ」です。

 

「毒々しさ」を伝えるために、フレーバーテキストの中に以下3点の情報を書いていました。

 

緑青の刃をした、古い小太刀

忍義手に仕込めば、義手忍具になる

いにしえの昔、葦名に攻め寄せた

人ならぬ一族に抗するため

葦名衆が鍛えたもの

あやかしを退けたは、

青錆びの毒の賜物とか

 

※『隻狼』より引用

 

斑とは、ちがった色の部分が入りまじっている模様のこと。病的な様子。

 

緑青とは、昔、猛毒とされていた錆のこと。

 

いずれの情報も「毒々しさ」に関連した情報になっていることが分かります。これにより、読者に「この武器の毒々しさ」を印象づけていました。

 

 

フレーバーテキストの作り方:まとめ

 

以下おさらいです。

ぜひ覚えて使ってみて下さい。

 

 

コンセプト(読者に何を一番伝えたいのか)を考える

伝えたい内容に合わせた情報を書く

  

 

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