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小説「LANCASTER《ランカスター》」第1話 運命との邂逅(1)

小説「LANCASTER《ランカスター》」

概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第1話 運命との邂逅(1)

 

 小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ

 

その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──

 

ある日、現代からタイムスリップした一人の男。

目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。

生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。

あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー

生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!

 

 

不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)

 

争いがあった。永い争いがあった。

暗月の国イングランド、灰の国フランス。

王位継承を端に発した両国による血で血を洗う熾烈な戦いは、百余年続いた。

この永きに渡る戦乱は、社会を腐敗させ、惡と暴力を蔓延させた。

この大陸全土を巻き込んだ戦火は、のちにこう呼ばれる。

――《百年戦争》と。


「忘れるな、決して忘れるな。彼の地にて、己の任務を果たすのだ」

 

白い無機質の建物の中、老いたしゃがれた声が響く。

背中に刀を差した黒衣の翁は、カプセルの中でぐったりと横たわる若い男を見下ろす。

 

「良いな、我々 《黄金の夜明け》の目的を忘れるな」

 

返事はない。

黒衣の翁は、カプセルのボタンに静かに手を掛ける。

白い蒸気で満たされるカプセル。

黒衣の翁は、不気味な笑みを浮かべる。

 

「さぁ、任務開始だ」

 

カプセルの中の蒸気が晴れた時、そこに男の姿はもうなかった。

 

「こ、ここはどこだ。俺は誰だ……」

 

暗い森の中、呆然と立ち尽くす黒衣の男。

颱風に靡く黒髪。

 

「いったい何が起きているんだ……」

 

揺れる黒い双眸。

その先には、今まさに轟々と燃える村の姿が映る。

生ぐさい血の臭い。

むせ返る煙。

黒衣の男は、思わず口を塞ぐ。

 

「酷い有様だ……」

 

がらがらと焼け落ちる瓦葺の家屋。

軒下には、ボロを纏った男たちが血を流して倒れている。

その時――

突如、地面が揺れ出す。

黒衣の男は、辺りを伺う。

 

「今度は何だ……」

 

立ち込める砂煙。

何かが勢いよく迫って来る。

しかし、その姿は、砂煙でよく見えない。

近づいてくるにつれ、荒げた声が聞こえてくる。

 

「土くせぇ農民の男共には興味はねぇ。女以外は皆殺しだッ!」

「これだから盗賊は止められんねぇ」

 

砂塵が晴れる。

姿を現したのは、二頭の馬。

ボロ蓑を纏った二人の盗賊。

その身体は、返り血で真赤に汚れている。

 

「盗賊だと……」

 

思わず口にする黒衣の男。

盗賊の一人は、声に気づく。

 

「まだ生き残りがいたか」

「丁度いい。奪った剣で試し斬りと行こうじゃあねえか」

 

盗賊の一人が剣を片手に振り上げる。

黒衣の男は、思わず固まる。

 

「ま、待て!」

「ヒャハッーー!」

 

振り下ろされる凶刃。

吹き上がる血しぶき。

黒衣の男の首が飛ぶ。

その大きく見開いた死んだ瞳には、盗賊たちの下品な笑みが映る。

 

 

次話:不死のラーフ篇 第2話 運命との邂逅(2) 

 

 

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