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小説「LANCASTER《ランカスター》」第3話 運命との邂逅(3)

小説「LANCASTER《ランカスター》」

概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第3話 運命との邂逅(3)

 

 小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ

 

その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──

 

ある日、現代からタイムスリップした一人の男。

目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。

生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。

あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー

生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!

 

不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)

 

 

不死のラーフ篇 第3話 運命との邂逅(3)

 

刀の柄に手を掛けた瞬間だった。

忘れていた記憶の一部が蘇る。

白い無機質の建物の中、兵を模した藁人形が無造作に並べられている。

黒衣の男。

そして、もうひとり別の人間が立っている。

背中に刀を差した黒衣の翁だ。

 

「烏よ、お主は《暗殺者》として誰よりも優秀だ」

「……」

「この長たる儂の技をここまで盗めた者は、未だかつておらん」

「だが、なぜ、この現代において、わざわざ刀を使って訓練をする必要がある」

「銃では、弾の限りがある。彼の時代に弾の補充などできるはずもない」

「どういう意味だ」

「意味など知る必要はない。どうせ記憶までは持って行けぬのだから。だが――」

 

おもむろに黒刀を抜く黒衣の翁。

 

「技は持って行ける。記憶は無くとも、身体は覚えているはずだ」

 

刹那、周囲の藁人形の首が打ち上がる。

 

「壱ノ殺陣 《影踏み》」

 

思い出した記憶は、そこまでだった。

 

 

遠い忘却の彼方で「烏」と呼ばれた男。

烏は、いま敵を前にして、不思議と冷静だった。

先程まで泳いでいた黒い瞳は、今は静かに鋭く獲物を睨んでいる。

初めて手にするはずの刀は、驚くほど手に馴染んでいる。

盗賊は、烏めがけて刃を振り下ろす。

 

「その首もらったッ!!」

「壱ノ殺陣――」

 

静かに抜刀する烏。

そして、逆さに黒刀を構える。

 

「《影踏み》」

「ど、どこへ消えた……」

 

狼狽する盗賊。

刹那、盗賊の背後より姿を現す烏。

 

「背より御免」

小説「LANCASTER《ランカスター》」:烏

 

 

次話:不死のラーフ篇 第4話 運命との邂逅(4) 

 

 

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