概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第5話 運命との邂逅(5)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第5話 運命との邂逅(5)
まもなく森が見えてくる。
青臭い藪の中を駆け抜ける。
しかし、盗賊たちも執拗に追跡する。
「仲間の仇だ。絶対に逃がすなッ!」
語気を荒げた盗賊の声が暗闇に響く。
烏は、馬の腹を蹴り、いっそう速く前へ進む。
まもなく闇を抜ける。
そして、見えてくる一筋の光。
「月だ」
しばらくぶりの光。
しかし、安堵するのも束の間。
「これは……」
急いで手綱を引き寄せ、馬の脚を止める烏。
眼前に広がっていたもの。
それは、まさに断崖絶壁だった。
落ちれば、人間など一溜まりもない。
そんな崖際に立たされていた。
次話:不死のラーフ篇 第6話 運命との邂逅(6)
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