概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第12話 運命との邂逅(12)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第12話 運命との邂逅(12)
忘れていた記憶の一部が蘇る。
白い無機質の建物の中、鎧を纏った藁人形が無造作に並べられている。
烏。
そして、もうひとり別の人間が立っている。
背中に刀を差した黒衣の翁だ。
「烏よ、刃が通らぬ相手に、闇雲に刀を振ってはならぬ」
「なら、どうすればいい」
「どんな硬い鎧にも必ず弱点はある」
「弱点……?」
不思議そうに黒衣の翁を見つめる烏。
黒衣の翁は、地面に刃先を向けて構える。
「まあ、見てると良い」
刹那、上空へ高く飛び上がる。
「弐ノ殺陣 《鎧通し》」
地面に足を着ける黒衣の翁。
刹那、藁人形の首筋に刀が垂直に突き刺さる。
見事に鎧の間を刺し貫いていた。
思い出した記憶は、そこまでだった。
次話:不死のラーフ篇 第13話 運命との邂逅(13)
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