概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第20話 運命との邂逅(20)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第20話 運命との邂逅(20)
ランカスターは、凛としてホークアイを見つめる。
「私の瞳に掛けて誓おう。烏は悪い人間ではない、と」
「ランカスター隊長がそう言うのであれば……」
栗色の髪を揺らしながら謝罪するホークアイ。
花の蜜のような柔らかい甘い香りが漂う。
烏は、静かにホークアイを見つめる。
「別にいい」
ホークアイは、桜色の唇に指を当てる。
「それはそうと、烏というのは貴官の名前でしょうか?」
「どうやら記憶がないらしいのだ」
夜空に浮かぶ月を見上げるランカスター。
ホークアイは、眉をひそめる。
「記憶がない……?」
「ああ。自分が誰かも……ここにどうやって来たかも……」
「では、烏というのは……?」
「記憶の中でそう呼ばれていただけだ」
頭を抱える烏。
今はほかに何も思い出せなかった。
次話:不死のラーフ篇 第21話 運命との邂逅(21)
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