概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第22話 運命との邂逅(22)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第22話 運命との邂逅(22)
烏は、逡巡する。
「全て信じられた訳ではない。だが、それで、ある程度は説明がつく」
誰に聞かす訳でもなく思考を漏らす。
「瓦葺の村、盗賊、騎士……ここは、俺の知っている現実ではない」
烏の色褪せた記憶が蘇る。
ビル。車。道路を行き交う人々の姿。
まるで今とは異なる世界の情景が浮かぶ。
疑惑は、徐々に確信へ変わる。
「ここは、俺の知らない違う世界だというのか……」
ランカスターは、烏の顔を覗く。
「どうしたのだ。顔色が悪いぞ」
「あり得ない話だが……」
「……」
「もし、ある世界からこの世界に来た、と言ったら、信じられるか?」
震える声で言葉を絞り出す烏。
その足は、微かに震えていた。
次話:不死のラーフ篇 第23話 運命との邂逅(23)
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