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小説「LANCASTER《ランカスター》」第30話 深まる謎(3)

小説「LANCASTER《ランカスター》」

概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第30話 運命との邂逅(3)

 

 小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ

 

その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──

 

ある日、現代からタイムスリップした一人の男。

目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。

生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。

あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー

生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!

 

不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)

 

 

不死のラーフ篇 第30話 深まる謎(3)

 

 

「偵察……」

 

その言葉を聞いて、何かを思い出す烏。

忘れていた記憶の一部が蘇る。

白い無機質の建物の中、無数の家屋が無造作に並んでいる。

まるで訓練場のような場所に、烏が一人。

そして、もうひとり別の人間が立っていた。

背中に刀を差した黒衣の翁。

 

「烏よ、偵察の極意とは、影に潜むことにある」

「どういう意味だ」

「決して、陽の目にも人の目にも触れてはならぬ」

「しかし、どうやって」

「烏よ、主ならできるはずだ」

 

思い出した記憶は、そこまでだった。

烏は、二人の前に躍り出る。

 

「その偵察、俺が引き受けよう」

「……?」

「……?」

 

顔を見合わせるランカスターとホークアイ。

ランカスターは、半信半疑に烏を見つめる。

 

「心得があるのか?」

「ああ」

「……」

「少なくとも、今ここに俺以上の適任はいないはずだ」

「分かった。ならば、烏に任せよう」

 

青い瞳で見つめるランカスター。

その瞳は、全てを理解しているようだった。

烏は、改めて砦を望む。

 

「行くぞ」

「待て、烏」

「……」

「もし、一刻の内に戻らぬ場合は、砦へ乗り込む」

「分かった。それまでには必ず戻ろう」

 

ホークアイは、心配そうに烏を見つめる。

 

「何か悪い予感がします」

「心配するな。必ず戻る」

「必ず、ですよ」

「ああ」

「もし何かあれば、すぐに駆けつけます」

「ああ」

 

こくりと頷く烏。

二人に背を向け、夜の森の中へ駆け出す。

この時、ホークアイの勘が的中するとは、烏は思ってもいなかった。

 

 

次話:不死のラーフ篇 第31話 深まる謎(4)

 

 

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