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小説「LANCASTER《ランカスター》」第38話 深まる謎(11)

小説「LANCASTER《ランカスター》」

概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第38話 深まる謎(11)

 

 小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ

 

その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──

 

ある日、現代からタイムスリップした一人の男。

目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。

生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。

あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー

生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!

 

不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)

 

 

不死のラーフ篇 第38話 深まる謎(11)

 

 

夜の森は、冷えた。

烏とランカスターは、互いに薪を拾い集める。

時おり、木々の間から強い風が吹き込む。

亜麻色の髪が揺れる度、ほのかに甘酸っぱい香りが漂う。

烏は、薪を集めながらランカスターの背を見つめる。

 

「俺に何の用だ」

「うむ」

「どうした」

「いや……」

 

珍しく言い淀むランカスター。

烏は、不審に思い、ランカスターの顔を覗く。

 

「俺に聞きたい事があるんだろ」

「しかし、聞いてもよいものかどうか」

 

薪を拾う手を止めるランカスター。

何か躊躇しているようだ。

烏は、近くの木に寄り掛かる。

 

「遠慮はいらない」

「ならば、率直に問おう」

「ああ」

「烏よ、貴方はいったい何者なのだ」

「……さっきも言ったはずだ。覚えていないんだ」

「本当に何も覚えていないのか?」

 

透き通った青い瞳で見つめるランカスター。

まるで嘘を見通しているかのようだ。

烏は、その青い瞳を直視できない。

 

「ああ、何も覚えていない」

「では、聞き方を変えよう」

「……何を聞かれても一緒だ」

「本当は何かを思い出しているのではないか?」

「……」

「貴方の身のこなしは、剣士のそれではあるまい」

「何を言ってるんだ……」

 

思わず目を逸らす烏。

ランカスターは、不思議そうに烏の刀を見つめる。

 

「その音を立てぬ隠密の身のこなし。まるで特別な訓練を受けていた様に見える」

「それは……」

「何か覚えがあるのではないか?」

「……」

 

言葉に詰まる烏。

決して、青い瞳を直視できない。

 

 

次話:不死のラーフ篇 第39話 深まる謎(12)

 

 

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