概要:『中世ヨーロッパの薬事情』について一挙紹介!
あなたは、ある日、現代から中世ヨーロッパにタイムスリップしてしまう。 あなたの目的は、再び現代に帰ること。 あなたは、知識を身に付けながら過酷な中世ヨーロッパを生き抜く決心をする。 あなたは、農村を離れてからというもの、ずっと森の中を歩き続けている。 一方、騎士様といえば、デストルドー種の軍馬バヤールに跨っていた。 マルグリッド・オブ・ランカスター 少し休もう。疲れただろう あなたは、言葉に甘えて、その場に「ふう」と腰を下ろす。 尚、「ストーリーで学べる中世ヨーロッパ」シリーズについて最初から読みたい方は、以下記事を読んでみてください。 サンタ・マリア・ノヴェッラ教会とは、1221年に建設されたイタリア・フィレンツェの教会ことです。 サンタ・マリア・ノヴェッラ教会では、修道士によって薬剤が調合されていました。 現存する薬局としては、最古のようです。 当時の修道院では、神学だけではなく、薬学・医学に関する研究も行われていたようです。 教会・修道院の庭には、しばしば、薬草が栽培されていました。 英国オックスフォード大学のボドリアン図書館に収蔵されている15世紀の写本「ライル・オブ・メディスン(Lylye of Medicynes)」には、360種類以上の薬のレシピが書かれていました。 当時の薬のレシピ内容を解析したところ、医学的に合理的な法則に従っていたようです。 薬の材料としては、ハチミツ、酢、ザクロの花などがあったようです。 ---------------------------------------------- ストーリーサイド あなたが腰を下ろした時だった。 藪から一匹の猪が飛び出して来た。 焦って逃げ出そうとするあなたは、石に躓いて、膝を擦りむく。 猪は、そんなあなたを横目に通り過ぎていく。 騎士様は、あなたの下に駆け寄ると、あなたの膝を見た。 マルグリッド・オブ・ランカスター うむ、大事はなさそうだ。念のため、あて薬を塗っておこう 当時の識字率は、極めて低いものだったそうです。 そのため、各店舗は、しばしば、看板にシンボルマークを描きました。 例えば、薬局でいえば、ギリシア神話に登場する名医アスクレピオスの娘のヒュギエイアが持っていたとされる「ヒュギエイアの杯」がシンボルマークとして使用されていました。 花は、薬としてだけではなく、いい匂いをさせるためにも使われていたようです。 当時は、現代のように、ジャブジャブ水を使えませんでした。 そのため、15世紀頃には、匂い消しとして、花から絞った精油が使われていたようです。 尚、ミントやヘンルーダ(シトラス系)などの精油が使われていたようです。 とはいえ、個人的には、庶民が簡単に入手できる感じではなかっただろうと推察しています。 匂いを気にしてそこにお金を掛けることができたのは、貴族ぐらいなのではないかと。 傷を手当して貰ったあなたは、騎士様の揺れる髪から、ほのかにいい香りがすることに気づく。 柑橘系の甘酸っぱい匂いだった。 尚、中世ヨーロッパを舞台とした作品を書きたい方は、以下1冊があると便利だと思います。
ストーリーで学べる中世ヨーロッパ:薬草 篇
ストーリーで学べる中世ヨーロッパとは
【中世ヨーロッパ】現存する最古の薬局はサンタ・マリア・ノヴェッラ教会
【中世ヨーロッパ】当時の薬もそこそこ効果はあった
【中世ヨーロッパ】当時の識字率は極めて低かったため看板に絵を描いた
【中世ヨーロッパ】当時の花は薬としてだけではなく香水代わりにも使われていた
ストーリーで学べる中世ヨーロッパ:薬草 篇 -完-
創作に役立つ中世ヨーロッパ知識