概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第50話 明けない夜(7)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第50話 明けない夜(7)
烏は、眉をひそめ、ランカスターに問う。
「聞きたいことがある」
「どうしたのだ」
「弓兵の有効射程はどれくらいある」
「なぜ、そんな話を」
「純粋な興味だ」
「ふむ」
しばし考えるランカスター。
「狙撃地点や風にもよるが、大体五〇~三〇〇ヤード程度といった所か」
「約二七〇メートル程度か」
「しかし、それはあくまで並の弓兵の話だ」
「どういうことだ」
「熟達した弓兵なら、五〇〇~七〇〇ヤードは飛ばすと云う」
「……ホークアイもそれくらい飛ばせるのか?」
「面白い事を云うのだな」
くすりと笑うランカスター。
「何がおかしい」
「彼女の射程はその倍だ」
「倍だと……」
「故に付けられた名は、極大射程 《キリングレンジ》。其が彼女の異名だ」
「……だが、そんな距離から標的を狙えるのか」
生唾を飲み込む烏。
ランカスターは、こくりと頷く。
「彼女の瞳は、鷹の目。どんな小さな獲物も必ず見つけ出す」
「鷹の目……」
何かを思い出す烏。
それは、ウィルト砦へ向かっていた時のこと。
烏、ランカスター、ホークアイ。
三人は、遠方から砦を望んでいた
その時、ホークアイは、砦の中まで見えているかのように語っていた。
次話:不死のラーフ篇 第51話 明けない夜(8)
coming soon
▼電子書籍版