概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第52話 明けない夜(9)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第52話 明けない夜(9)
烏は、息を潜める。
「……」
「そこにいるのは分かっています」
「……なぜ、ここにいることが分かった」
「出てこないなら――」
ぎりぎりと引き絞られる弦。
烏は、諦めて、ゆっくり木陰から姿を現す。
「俺だ」
「烏さん……? どうしてこんな場所に」
静かに弓を下ろすホークアイ。
烏は、ゆっくりホークアイの下へ向かう。
「すまない。気になって後をつけた」
「そういうことでしたか」
「ホークアイこそ、こんな場所で何をしているんだ」
「それは……」
くぎゅるる、と腹を鳴らすホークアイ。
気まずそうに野ウサギの死体を後ろに隠す。
次話:不死のラーフ篇 第53話 明けない夜(10)
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