概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第54話 明けない夜(11)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第54話 明けない夜(11)
烏は、あまりの妙技に舌を巻く。
「さっきの夕食もそうだが、上手いんだな」
「へ?」
「料理だ」
「そんな言うほどではありませんよ」
腰巾着から幾つかの香辛料を取り出すホークアイ。
手早く肉に様々なスパイスを揉みこむ。
「山育ちの私にできることは、煮るか焼くか、ぐらいものです」
「山育ち……?」
「幼い頃は、緑ゆたかなウェールズと呼ばれる地方に住んでいました」
「聞いたことのない場所だ」
「緑以外は特に何もない場所です」
「だが、なぜ、そんな場所から騎士になんて?」
「あの日、ランカスター隊長に救われたからです」
火を見つめるホークアイ。
翡翠の瞳の中に炎が揺れる。
次話:不死のラーフ篇 第55話 明けない夜(12)
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