概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第57話 明けない夜(14)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第57話 明けない夜(14)
朝は、来なかった。
またいつもと同じ夜が始まる。
烏は、集めた薪を下ろす。
「ホークアイでもなかったか。となると、残すは――」
ランカスターは、懐からおもむろに火打石を取り出す。
かちかち、と二回ほど打ちつける。
小さな種火。
やがて燃え広がり、大きな炎が生まれる。
ランカスターは、烏の顔を覗く。
「浮かない顔だ」
「何でもない」
「本当か」
澄んだ青い瞳で見つめるランカスター。
烏は、思わず目を背ける。
「……可能性は低いが、調べる必要はあるだろう」
考えてみれば、ランカスターにも不審な点はあった。
ランカスターも天幕を離れて、どこかへ抜け出しているようだった。
次話:不死のラーフ篇 第58話 明けない夜(15)
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