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小説「LANCASTER《ランカスター》」第58話 明けない夜(15)

小説「LANCASTER《ランカスター》」

概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第58話 明けない夜(15)

 

 小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ

 

その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──

 

ある日、現代からタイムスリップした一人の男。

目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。

生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。

あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー

生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!

 

不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)

 

 

不死のラーフ篇 第58話 明けない夜(15)

 

 

そして、時は夕食後へ。

ランカスターは、剣を片手に、夜の森の中へと消えていく。

烏は、気づかれぬよう尾行する。

 

「どこへ向かうつもりだ」

 

ランカスターは、人目に付かぬ場所を選ぶように、生い茂った森の中を進む。

立ち止まったのは、少し開けた場所。

そこだけ草木がぽっかりない。

ランカスターは、鞘から長剣を抜く。

 

「此処ならば良いか」

 

闇夜に輝く青い剣閃。

風切音。

巻き上がる砂塵。

揺れる亜麻色の髪。

月明りの下、黙々と剣を振るうランカスター。

烏は、木陰からしばらく様子を見守る。

しかし、いつまでも終わる気配のない稽古に痺れを切らして、姿を現す。

 

「いつも、やっているのか」

「烏……何故こんな場所に」

「眠れなくてな。少し夜風に当たり来たところだ」

「分かりやすい嘘をつくのだな」

 

青い瞳で見つめるランカスター。

烏は、心得たように頷く。

 

「すまない。気になって後をつけた」

「やはり、そうだったか」

「熱心だな」

「そんなのではない。幼い頃からの惰性だ」

「惰性にしては、ずいぶん熱が入っていた様に見えたが」

「冷静を取り繕って見せても無駄か」

 

剣を見つめるランカスター。

その白い手には、血豆ができていた。

 

 

次話:不死のラーフ篇 第59話 明けない夜(16)

 

 

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