概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第60話 明けない夜(17)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第60話 明けない夜(17)
剣戟は、二十余続いた。
序盤、圧していたのは、明らかに烏だった。
しかし、中盤から不思議な事が起きた。
圧そうとすればするほど、返って追い詰められたのだ。
気づけば、烏は木を背にしていた。
まもなく打ち上げられた黒刀が地面に突き刺さる。
まさに完敗。
その一言に尽きた。
ランカスターは、長剣を鞘に納める。
「手合わせ、ご苦労」
「……」
月下に照らされる少女の小さな背中。
しかし、烏には、その背中が大きく見えた。
そして、その光景が最期に見る光景となった。
朝は、来なかった。
またいつもと同じ夜が始まる。
次話:不死のラーフ篇 第61話 明けない夜(18)
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