概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第69話 明けない夜(26)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第69話 明けない夜(26)
ヒースクリフは、息を荒げる。
「避けたか」
「今のは一体……」
膝をつきながら立ち上がる烏。
もう少し回避が遅ければ、三枚下ろしになっていた。
思わず背筋が凍りつく。
ヒースクリフは、剣を片手に、烏に飛び掛かる。
「呪術を頼らずとも、君ごとき葬るのは安易だ」
「チッ――」
刀で防ぐ烏。
しかし、ガードしたにも関わらず、肉が裂ける。
腹部と太腿から血が吹き上がる。
ヒースクリフは、剣を片手に、にじり寄る。
「見えている……という訳ではなさそうだね」
「何が起きているんだ……」
解せない烏。
相手の一太刀は、見えないほど速い訳でもない。
むしろ、異様なほど、ゆっくり見える。
それにも関わらず、回避することも防ぐこともできない。
見極めるのは、困難を極めた。
次話:不死のラーフ篇 第70話 明けない夜(27)
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