概要:「かつて本当に実在した魔法・呪文・召喚術」について紹介!
九つの薬草の呪文
九つの薬草の呪文とは、大英博物館に収蔵されている"ラクヌンガ"と呼ばれる写本の中に記述された古英語の呪文のことです。
九つの薬草の呪文の役割は、その名の通り、9種の薬草を用いて、毒・怪我を治癒することです。
9種の薬草については、以下の通りです。※諸説あり
九つの薬草の呪文に使用する薬草一覧
- ウァイブラード
- カッコウソウ
- ヨモギ
- ミチタネツケバナ
- カモミール
- スティゼ
- フェンネル
- タイム
- クラブアップル
負傷者にこれらの薬草を塗布する前に、次の呪文を唱えました。
蛇が這い来たりて人傷つけたり。
ウォーデン九つなる栄光の枝を取り、
蛇を打ちつくるに、これ九つに砕け散りぬ。
ここにおいてアップルは毒に打ち克ちて、
以後蛇人の家に住まうことを欲さざるなり。
タイムとフェンネルを、いと力強き双方を、
薬草を、賢明なる主は創造りたり、
天におわす神々しき者は、懸られし時に。
これを七つなる世界に据え送りたり、
なべて貧なるもの、富なるものの慰めとて。
これは痛みに効き、毒に効く、
これは三十と三に対し。
悪魔の仕業に対し、突然のたぶらかしに対し、
悪しき者共の呪詛に対し。
メルセベルクの生還の呪文
メルセベルクの呪文とは、9世紀頃にドイツ・フルダの神学の写本から発見された呪文のことです。※年代については諸説あり
メルセベルクの呪文の中には、"生還の呪文"と呼ばれる呪文が記載されていました。
生還の呪文とは、北欧神話において、戦場にて生きる者と死ぬ者を定める女性《ヴァルキリー》が捕虜となった兵士を解放するために唱える呪文となるそうです。
詠唱は、以下の通りです。
メルセベルクの生還の呪文の詠唱
かつて賢き女ども座せり
ここかしこに。
ある者はいましめの鎖をととのえ、
ある者は敵の軍兵をおさえ、
ある者は鎖をむしりとれり。
「いましめを脱し、
敵を逃れよ!」
ヴィーンの寄生虫の呪文
ドイツの言語学者ヤーコプ・グリムが記した『ドイツ神話学』の中には、治癒のおまじないとして、病原虫を駆除するための呪文が記されています。
ヴィーンの寄生虫の呪文の詠唱は、以下の通りです。
ヴィーンの寄生虫の呪文の詠唱
出でよ蟲よ、九匹の仔虫たちよ、
骨髄から骨へ、骨から肉へと、
肉から皮へ、皮からこの矢へと。
主よ、いざそうならしめよ!
ガルトラボーグの呪文
ガルトラボーグとは、中世アイスランドにて発見された呪術書のことです。
ガルトラボーグには、47の呪文が記されていました。
呪文の中には、「眠りをもたらす呪文」「恐怖に陥れる呪文」「相手の腹を下す呪文」等が記載されていました。
相手の腹を下す呪文の詠唱
大きなる便と突き刺す痛みもてなんじの腹を悩ませんとするものよ、
はなはだ大きなる屁もてなんじの腹を苦しめんこれらすべてのものよ。
なんじが骨のバラバラとなりて、なんじがはらわたのはち切れ、
昼も夜もなんじが屁の止まらざらんことを。