概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第77話 不死のラーフ(2)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第77話 不死のラーフ(2)
ランカスターは、顔を上げる。
「蛇腹峠が見えてきたぞ」
「……足場の悪い難所と聞いていましたが、まさか、ここまでとは……」
ごくりと生唾を飲むホークアイ。
眼前に広がるのは、岩肌を向き出した荒々しい峠。
その名の通り、蛇のとぐろのように道が渦巻いている。
更に、道幅は狭い。
人ひとりが通るので精一杯のようだ。
まさに難所そのもの。
ランカスターは、周囲に注意を促す。
「足場が狭くなっている。滑落せぬよう気をつけるのだ」
一行は、気を引き締めて、馬を走らせる。
気を抜けば、地面の見えない奈落の底。
時おり吹く突風が底へ誘う。
ヒースクリフは、眉をひそめる。
「風が傷にしみるね」
「ああ」
風にも負けず突き進む烏。
一行は、足を止めることなく進軍する。
その時だった。
地面が大きく揺れる。
次話:不死のラーフ篇 第78話 不死のラーフ(3)
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