概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第92話 不死のラーフ(17)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第92話 不死のラーフ(17)
ランカスターは、静かに左右に揺れる。
「不死身と言うなら、倒れるまで何度も斬り伏せよう」
「なんなんだ、お前は……」
「マルグリッド・オブ・ランカスター、貴様を葬る者の名だ」
何かを思い出すラーフ。
「ランカスターだと……そうか。かつて、聞いたことがある」
「……」
「ガーター騎士団の中には、戦場において、ただの一度さえ傷を負ったことがない者がいると……」
「……」
「確か、こう呼ばれていたな。届かざるは盾の如く――護剣のランカスターと」
立ち上がっては斬り伏せられるラーフ。
地面には夥しい量の血が流れる。
ランカスターは、依然、静かに左右に揺れながら斬撃を繰り出す。
「デカ、エンデカ、ドーデカ――」
「ガハッ」
「デカトゥリア、デカトゥリス、デカセトラ――」
「待て……再生が追いつかぬ――」
胴体に大きな風穴を開けるラーフ。
しかし、もはや再生はしない。
開いた風穴から、壊死した細胞が崩れ落ちる。
次話:不死のラーフ篇 第93話 不死のラーフ(18)
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