概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第94話 不死のラーフ(19)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第94話 不死のラーフ(19)
ラーフは、肉包丁を振り上げる。
「だが、所詮は人間。非力よッ!」
「参ノ殺陣――」
最後の力を振り絞り、居合の構えを取る烏。
刹那、踏み出す。
ラーフは、怪訝そうに辺りを伺う。
「何だ、これは……」
どこからともなく現れた数十羽のカラスの群れ。
不気味に喚く。
そして、一斉に飛び立つ。
烏は、舞い散る黒い羽の中から姿を現す。
「《影頸おとし》」
「ガハッ――」
吹き上がる血しぶき。
打ち上がるラーフの首。
しかし、首元の細胞はまだ生きている。
ヒースクリフは、それを見逃さない。
長剣を用いて、自らの指に傷をつける。
指から真っ赤な鮮血が流れる。
「呪を以て告げる。汝、13の席に囚われし者──黒本ガルトラボーグ1章2節『円卓の災禍 《サークル・フルーフ》』」
地面に突き刺した長剣にラーフの死相が映る。
首だけとなったラーフは、語気を荒げる。
「貴様ら……」
「君の負けだよ」
「ガハッ――」
耳から、目から、口から、吐血するラーフ。
じょじょに細胞が死んでいく。
次話:不死のラーフ篇 第95話 不死のラーフ(20)
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