概要:小説「LANCASTER《ランカスター》」第106話 不死のラーフ(31)
小説「LANCASTER《ランカスター》」あらすじ
その男、死ぬ度に、思い出す度に、強くなる──
ある日、現代からタイムスリップした一人の男。
目が覚めると、そこは中世暗黒時代、百年戦争の地だった。
生きて再び現代に戻る条件はただ一つ。
あらゆる願いを叶える《奇蹟の円環》を手に入れる事ーー
生死を賭した中世ダークファンタジー剣戟譚、開幕!!
不死のラーフ篇 第1話 運命との邂逅(1)
不死のラーフ篇 第106話 不死のラーフ(31)
トロールは、垂れた頬を震わせ、苛立ちを見せる。
「それに、ドンレミの村から、救国の戦乙女と名乗る小娘まで出て来ておる」
「何者ですか」
「知らぬ。しかし、青髭のジル・ド・レを従えている。油断はできぬ」
「其のような名のある剣士を従えているとは……」
「……さらに、東の大魔女までもが動き出した」
冷や汗を垂らすトロール。
ランカスターは、下顎に手を置く。
「大魔女……確か、串刺しのヴラドと云ったか」
「ふむ。さらに厄介なことに、組織立った行動を見せているようだ」
「魔女が組織行動を?」
「そうだ。通常、利己のためにしか動かぬ魔女が手を組むなど考えられないが」
「して、その数は――」
「把握しているだけでも、ほかに四体の魔女がおる」
「四体も……」
生唾を飲むランカスター。
次話:不死のラーフ篇 第107話 不死のラーフ(32)
▼電子書籍版