概要:現役ゲームプランナーの立場から「オープンワールドのメリットデメリット」について考察!
プロフィール:わたなべ りょう
▼略歴
・明治大学政治経済学部卒
・株式会社カプコンに4年半勤務
・ゲームプランナー/アクションプランナー
・フリーランスとして独立
・特技は「テコンドー」「カポエイラ」
▼制作実績
・モンスターハンター ライズ
・モンスターハンター エクスプロア
・小説「LANCASTER《ランカスター》」
そもそもオープンワールドとは
ゲーム業界にいる自分の言葉で簡単に言うと、以下の通りです。
・広大なマップ上にてどこでも好きなように自由に移動しながら遊べるノンリニアゲーム
※ノンリニアとは、決められた一本道ではないということ
簡単に言えば、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』です。
ブレスオブザワイルドでは、プレイヤーは祠から目覚めた後、広大なステージを自由に歩き回って冒険することができるようになっていました。
具体的には、以下の通りです。
オープンワールドゲームの見え方
引用元:Nintendo 公式チャンネル
※動画をクリックすると、1分10秒から再生されます
見てもらって分かる通り、広大なステージにて自由に攻略をしていますよね。
このように、オープンワールドゲームでは、好きな所に行って、自由に攻略を進められるゲームデザインになっています。
そのほかオープンワールドゲームの例
- ドラゴンズドグマ
- ウィッチャー3 ワイルドハント
- ホライゾンゼロドーン
- ニーア オートマタ
- ドラゴンクエストビルダーズ
関連記事:「アクションゲームは苦手」←なぜ苦手なのか理由を解説
オープンワールドゲームのメリットデメリット
オープンワールドには、それぞれ長所と短所があると考えています。
開発者視点として考えるメリットデメリットは、以下の通りです。
長所:自由に広大なステージを探索できる
短所:導線づくりが難しい
短所:バトルアクションと相性が悪い
パッと思いつく限りはこんな感じです。
ちょっと一個ずつ解説していきますね。
長所:自由に広大なステージを探索できる
オープンワールドの最大の魅力は、やっぱりなんと言っても、"自由に広大なステージを駆け回ることができるところ"だと考えています。
時には、大空を飛んだり、大海原に繰り出したり、馬に乗って草原を駆け巡ったり、松明をかざしながら暗い洞窟の中を進んだり、まさに冒険している体験こそ、オープンワールドの醍醐味だと思っています。
ユーザーに冒険している体験を味わってもらうために、広大なステージを作成して、そこに山/川/砂漠/森/洞窟といった場所を配置して、時には雨/雷/砂嵐といった天候まで用意するのだと思います。
広大だからこそ探索が楽しい
ぶっちゃけ、オープンワールドは「探索」「謎解き」に向いているゲームデザインだと思っています。
なぜなら、一本道ではないからです。
東西南北どこに向かってもいいし、道ひとつとっても、舗装路から獣道もあれば、海川から渡ることもできます。
ステージが広いと、色々な発見があるんですよね。
例えば、以下の通りです
- 目の前に山が見えてくる
- 山を登ると今度は塔が見えてくる
- 塔の近くに行ってみると海が見えてくる
こうした発見は、オープンワールドならではの楽しみかなと思います。
一本道のリニアでは、探索の幅もどうしても限られてしまうので。
短所:導線づくりが難しい
オープンワールドは、どこに行っても自由だし何をしても自由です。
でも、だからこそ、導線づくりが難しいと思っています。
一本道のゲームデザインのようにはいかない
直線的なゲームデザインであれば、ステージ1のボスを倒せば、ステージ2に行けるようになって、ステージ最奥にいるボスを倒せば、ステージ3に行けるといった分かりやすい導線が敷かれていると思います。
そのため、一本道のゲームデザインは「ユーザーが何をしたらいいのか分かりやすい」と言えると思います。
でも、オープンワールドでは、ユーザーの行動に任せているため、どうしても導線づくりが難しいと考えています。
実際、SNSを見ていると、オープンワールドゲームのユーザーの中には「何をしたらいいのか分からない」という声も見かけます。
"広大なステージの中で、どうやってユーザーを目的地まで導くか”というのは、オープンワールドにとっての大きな課題だと思います。
短所:バトルアクションと相性が悪い
ぶっちゃけ、"オープンワールド"と"バトル"は相性が悪いと思っています。
なぜなら、ステージが広くなるからです。
例えば、だだっ広い草原にモンスターを配置した場合、簡単に見つけることができるうえに、戦わずにスルーすることもできてしまいます。
これだとバトルに緊張感が出ないですよね……
問題はそれだけじゃない
オープンワールドのバトルを作るうえで肝心な問題点は、敵AI制御です。
広大なステージにて、ずっとプレイヤーを追うようにすることはできません。
また、ステージが広くなればなるほど、段差処理/壁ハメ対策/落下ハメ対策などの処理も考えなければなりません。
難易度が高いバトルアクションを志向する場合は、ダークソウルのように、基本的には狭い一本道を用意して、そこに敵を配置した方がゲームデザイン的には死闘を生みやすいと思っています。
このように、オープンワールドとバトルを両立させるには、大きい課題があると考えています。
オープンワールドゲームの長所短所まとめ
最後にもう一度まとめておきますね。
ゲームプランナーとして考える”オープンワールドゲームの長所短所”は、ざっくり以下の通りだと思います。
長所:自由に広大なステージを探索できる
短所:導線づくりが難しい
短所:バトルアクションと相性が悪い
もちろん、ゲームデザイン次第では短所も克服できると思います。
ただ、オープンワールドゲームの開発経験がないと、なかなか課題解決は難しそうだとは思います。
今回はこんな感じで終わりたいと思います。ではではー。
将来的にゲームクリエイターをめざしている方へ
ゲームクリエイターとしての制作スキルを身に付けたい方は、専門学校で勉強しておくと良いですよ。
ゲームプランナー/デザイナー/プログラマーなど業務に必要となる知識について実践的に学べるので。
アミューズメントメディア総合学院 は、ゲーム業界でも卒業生の方が多いので、進路先の候補として良いかなと思います。
それでは、今回はこんな感じで終わりたいと思います。