概要:現役ゲームプランナーの立場から「ゲームの仕様書の書き方」について紹介!
現役ゲームプランナーのわたなべりょうです。
ゲームプランナーとしての制作実績は以下の通りです。
✅代表作
・モンスターハンターライズ
・モンスターハンターエクスプロア
「ゲームの仕様書ってどうやって書けばいいの?」この疑問に対して現役ゲームプランナーとしてリアルに解説していきたいと思います。
そもそもゲームの仕様書とは
ゲームにおける仕様書とは「実装するにあたって必要となる処理アセット等について指定した設計書のこと」です。
イメージとしては建物の設計図に近いです。
建物の設計図では、どこに台所があるのか、材質は何か、高さはどれくらいか、蛇口は何個あるのか等々について指定されていると思います。
ゲームの仕様書も同じ感じです。
例えば、アクションゲーム内に新モンスターを実装する場合、どんな見た目なのか、どんな攻撃をしてくるのか、どうやって倒すのか、どんな弱点があるのか等々について指定していきます。それが仕様書です。
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ゲームの仕様書には何を書けばいいのか?
仕様書には「プログラマー」「デザイナー」「サウンド」などの各作業担当者が実作業に移行できるように「実装するにあたって必要となる処理・アセット」について書かなければなりません。
論より証拠ということで、実際にザックリ簡単に仕様書を作ってみましょうか。
それでは『スーパーマリオ』シリーズに登場するハテナブロックの仕様書について簡単に作ってみます。
ハテナブロック 仕様書
画像引用元:任天堂『スーパーマリオメーカー2』より
・目的は「道中の探索要素」「ステージ内の導線」
・ハテナブロックとは頭突きすることでランダムにアイテムがドロップするブロック
・見た目はハテナが描かれたボックス
・コリジョンは1×1のボックスコリジョン
・ハテナボックスには乗ったりぶつかったりすることができる
・ハテナボックスの下からマリオの頭が当たるとアイテムがドロップ
・マリオの頭が当たった際にブロックが揺れるアニメーションを再生する
・頭が当たった際に衝突音SEを再生する
・アイテムは必ずボックスの真上からドロップする
・ブロックから何が出てくるかはゲームプランナー側にて指定できるようにする
・アイテムドロップ後は効果がなくなったことが分かるように無地のボックスデザインに切り替える
ザックリこんな感じでしょうか。
もちろん、実際、開発現場にて仕様書を作成する際はイラストも添えながらもっとこと細かに指示する必要があるけれど、仕様書の書き方としては基本的にだいたいこんな感じになります。
簡単に言えば、その仕様書を見れば、誰が何を用意してどんな作業をすればいいのか分かる状態になっていればOKです。
でも、ぶっちゃけ、いざ仕様書を作るとなると、書き慣れていないうちはどうやって書けばいいのか分からなくなると思います。
それは仕方ないことです。私も新人の頃はそうだったので。実務レベルの仕様書を書けるようになるまでにはけっこう時間が掛かるので、最初のうちは上手く書けないからといって落ちこむ必要はないですよ。
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ゲームの仕様書を書くコツ
ゲームの仕様書を書くコツは「初めから終わりまで想像する」ということです。この一言に尽きると思います。
例えば、先ほどのマリオのハテナブロックの例で言えば、ハテナブロックを見つけてからアイテムがドロップするまでに何が必要なのかについて想像して洗い出すということです。
必要なものが分かれば、プログラマー、デザイナー、サウンドなど各作業担当者も実際に動き出せるようになるので。
仕様書を書けるようになるまでには時間が掛かる
正直、仕様書の書き方については知識経験によるところが大きいので書き慣れるまでは1枚つくりあげることさえ一苦労だと思います。
しかし、慣れないうちは下手でもいいので、まずは「初めから終わりまで想像する」を意識して書き上げてみてください。
もちろん、抜けや漏れはあると思うけれど、初めから終わりまで想像して書くことで一旦どんな感じのものが必要になるのか見えてくるはずです。
あとは繰り返し練習するだけです。私も実務にて何百枚も仕上げてきてようやくコツをつかめるようになりましたので。コツコツと練習していきましょう。
うまくゲームの仕様書を書けない場合
ゲームの仕様書を書き上げるためには必ずしもプログラミングできる必要はないけれど、ゲームに関する基礎知識はあった方がいいです。
✅コリジョン
✅カメラ
✅フレーム
✅ステート
✅座標
✅移動値
✅通信
✅処理負荷
このように、ゲーム開発において頻出する基本知識は最低限身に着けておかないと仕様書を書け上げるのは難しいかもしれません。
もし一度も「Unreal Engine」「Unity」等の開発ツールを触ったことがない場合は1冊参考書を読んでおけばOKです。
最近の開発現場、とくにハイエンドのコンシューマーゲームの開発現場では「Unreal Engine」が使用されていることが多いので、Unreal Engineについて勉強しておくのはいいと思います。
尚、ゲーム業界に興味がある就活生の方に向けて「ゲーム会社ってこんな感じだよ」という本を作成したので、興味があれば参考にしてみてください。
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