概要:現役ゲームプランナーの立場から「ゲームにおけるパラメーターの作り方」について紹介!
プロフィール:わたなべ りょう
▼略歴
・明治大学政治経済学部卒
・株式会社カプコンに4年半勤務
・ゲームプランナー/アクションプランナー
・フリーランスとして独立
・特技は「テコンドー」「カポエイラ」
▼制作実績
・モンスターハンター ライズ
・モンスターハンター エクスプロア
・小説「LANCASTER《ランカスター》」
ゲーム開発におけるパラメーターの意味
パラメーターとは、簡単に言えば、ゲーム内における効果量または性能のことです。
例えば、以下の通りです。
・使用すると体力が30回復する薬草
・装備すると攻撃力が10上がる武器
・防御力が15上がるスキル
このように、”ゲーム内における効果量または性能”について「パラメーター」と呼んでいます。
ここまでは簡単にイメージしやすいかと思います。
それでは、本題に行きます。
ゲームにおけるパラメーターの作り方
結論から言えば、以下の通りです。
手順1 実装するにあたって必要となるパラメーターを洗い出す
手順2 専用のデータテーブルを用意する
手順3 データはできる限り細かく分けておく
細かいこと言えば、ほかにも色々と気にしなければならないことはあるけれど、大枠としてはこんな感じかなと思います。
ちょっと一個ずつ解説していきますね。
手順1 実装するにあたって必要となるパラメーターを洗い出す
ゲームのパラメーターを実装するにあたってまず初めに考えなければならないのは"どんなパラメーターが必要になるのか"ということです。
例えば、「使用すると一定時間攻撃力が10上がるアイテム」を実装するとした場合、次のパラメーターが必要になると考えられます。
・タイマー(どれくらいの時間まで効果が続くのか)
・攻撃力増加量(どれくらい攻撃力が上がるのか)
こんな感じです。
ゲームに新規実装物を実装する場合は、いま見てもらったように、どんなパラメーターが必要になるのか事前に洗い出しておく必要があります。
尚、"パラメーターの洗い出し"は、基本的にゲームプランナーの業務となります。
実装するにあたって必要となるパラメーターについて仕様書に書いておく感じです。
パラメーターを洗い出すうえでの注意点
例えば、"ステージ内にて自由に走り回れる車”を実装するとなった場合、用意するパラメーターの数もかなり増える感じです。
抜け漏れがあると、プログラマー作業に影響が出るので、慎重に洗い出してください。
尚、ゲームプランナーに興味がある方は、以下の記事も見てください。
手順2 専用のデータテーブルを用意する
パラメーターを実装する際は基本的にソースコードにベタ書きは避けた方がイイかと思います。
なぜなら、調整し辛いからです。
専用のデータテーブルを用意しておくと便利ですよ。※データテーブルとは、テーブル状に連なったデータ群のこと
例えば、以下の通りです。
武器のデータテーブルの場合
鋼の剣 攻撃力10 属性無 購入価格100G 売却価格50
氷の剣 攻撃力15 属性氷 購入価格500G 売却価格150
炎の剣 攻撃力20 属性炎 購入価格1000G 売却価格350
このように、「武器」「アイテム」「スキル」など各カテゴリごとにデータテーブルを用意した方が調整しやすいので、個人開発でもテーブルを分けて作っておくと便利ですよ。
尚、調整方法について興味がある方は、以下の記事も読んでみてください。
手順3 データはできる限り細かく分けておく
ぶっちゃけ、データは基本的に細かく分けておいた方が調整しやすいです。
逆に言えば、データが一律になってしまうと、調整し辛かったり問題が起きたりしやすくなる感じです。
ちょっと何を言っているのかよく分からないですよね?
簡単に説明します。
・アクションゲームにて「体力が一定以下の時に攻撃力が2倍になるスキル」を実装したとする
・攻撃力アップのデータが分けられていない場合、"全武器共通"で攻撃力が2倍になってしまう
・一撃のダメージが高い武器(斧、大剣)にバフを掛けた場合、意図しないダメージが発生してしまう
このように、データが細かく分けられていないと、意図しない問題が起きやすくなってしまいます。
そのため、基本的には、データは細かく分けて作っておいた方が安全です。
上記の例で言えば、「剣の攻撃力が〇倍になる」「斧の攻撃力が〇になる」といった具合です。
ゲームにおけるパラメーターの設計方法
最後にもう一度まとめておきますね。
ゲームにおけるパラメーターの設計方法は、以下の通りです。
手順1 実装するにあたって必要となるパラメーターを洗い出す
手順2 専用のデータテーブルを用意する
手順3 データはできる限り細かく分けておく
パラメーターを実装するにあたって気をつけておきたいことは、ザックリこんな感じかなと思います。
もちろん、商業ゲームを開発する場合、もう少し色々と気にしなければならないことはあるけれど、大枠の方向性としてはこんな感じだと思います。
今回はこんな感じで終わりたいと思います。ではではー。
将来的にゲームプランナーをめざしている方へ
ゲームプランナーとしての制作スキルを身に付けたい方は、専門学校のゲームプランナー学科で勉強しておくと良いですよ。
企画書/仕様書/調整などプランナー業務に必要となる知識について実践的に学べるので。
アミューズメントメディア総合学院 は、ゲーム業界でも卒業生の方が多いので、進路先の候補として良いかなと思います。