概要:現役ゲームプランナーの立場から「ゲームデザインの考え方のコツ」について紹介!
プロフィール:わたなべ りょう
▼略歴
・明治大学政治経済学部卒
・株式会社カプコンに4年半勤務
・ゲームプランナー/アクションプランナー
・フリーランスとして独立
・特技は「テコンドー」「カポエイラ」
▼制作実績
・モンスターハンター ライズ
・モンスターハンター エクスプロア
・小説「LANCASTER《ランカスター》」
ゲームデザインの考え方のコツ
ゲームをデザインするにあたって個人的に意識している点は、以下の通りです。
・データから問題点を探って改善する
・どういうユーザーが遊んでくれるかを意識する
・ゲーム内における立ち位置を考える
上記要素は、ゲームデザインをするうえで重要だと思っています。
新米ゲームプランナーの頃は、毎日のように叩き込まれた考え方です。
それでは、一個ずつ具体的に解説していきますね。
尚、ゲームプランナーについて興味がある方は、以下の記事も見てください。
データから問題点を探って改善する
オンラインゲームでは、一般的に「ユーザーがゲーム内にてどういった行動を取ったか」に関するデータが収集されています。
例えば、以下の通りです。
格闘ゲームの場合
・各キャラクターの使用率
・各キャラクターの勝率
・課金コスチュームの購入率
このように、オンラインゲームでは、ゲーム内部に関する行動データが日々収集されています。
こうしたデータは、KPI(重要業績評価指標) とかって言われます。
小難しい専門用語自体は、特に覚えなくてOKです。
ただ、覚えておいて欲しいのは「ゲームデザインをする際は基本的にユーザーの行動データを参考にしながらおこなう」ということです。
じゃあ、どんなふうにデータを活用しているの?
例えば、『スマブラ』におけるキャラクターのバランス調整をするとします。
とはいえ、バランス調整をするとは言っても、闇雲にダメージを上げたり下げたりする訳ではないです。
各キャラの勝率データをもとに、明らかに勝率が高いキャラには下方修正を入れたり、明らかに勝率が低いキャラには上方修正を入れたりするといった具合です。
ゲームデザインをする際は、こうしたデータから問題点を洗い出して、改善することが重要になってくる感じです。
個人開発の場合、ユーザーの行動データを収集するのは難しいと思いますので、Twitterなどにてユーザーに直接アンケートを取って調整すると良いと思います。
どういうユーザーが遊んでくれるかを意識する
新規ゲームを立ち上げたりゲーム内に新規実装物を入れたりする際は、「そのゲームまたは実装物はどういうユーザーが遊んでくれるのか」を意識する必要があります。
例えば、以下の通りです。
格闘ゲームに新規キャラクターを実装する場合
実装内容:操作難度は高いけど素早くトリッキーな動きで翻弄できるキャラ
ターゲット:格ゲーが得意なコアゲーマー向け
ゲーム内に新規実装物を入れる際は、こんな感じでゲームデザインをしているんですよ。
実際、自分の場合、アクションゲームのプレイヤー制作をする際はターゲットを意識しながらデザインするようにしています。
『モンハン』のプレイヤー制作をしている時もそんなふうに考えて、プレイヤー設計をしていました。
"ターゲット"と"企画内容"どっちを先に考えればいい?
ぶっちゃけ、どっちでも良いと思いますよ。
ターゲットから先に考えて企画を立てるもよし。
企画から先に考えてターゲットを決めるもよしです。
ターゲット設定について興味がある方は、以下の記事も見てください。
ゲーム内における立ち位置を考える
ゲームデザインをする際は、"その新規実装物がそのゲームにおいてどういう立ち位置か"を考える必要があります。
例えば、以下の通りです。
格ゲーにて新規キャラクターを実装する場合
・パワーはあるけど動きがめちゃくちゃ遅いキャラ
・パワーはないけど俊敏な動きで翻弄するキャラ
・近距離は弱いけど遠距離攻撃に特化したキャラ
こんな感じですね。
それぞれの立ち位置を明確にすることで、キャラ被りしないようにすることができる感じです。
この考え方は、ゲームデザインをするうえでケッコー重要です。
なぜなら、ゲーム内における立ち位置が被ってしまうと、共食いが起きてしまうからです。
つまり、似たアイテムやキャラクターがいると、互いの存在意義が薄くなってしまうということです。
ゲームデザインをする際はこの3点を意識しよう
最後にもう一度まとめておきますね。
もし、これからゲームを制作しようと思っている方。あるいは、ゲームの企画書を書こうと思っている方。
そういった方は、ぜひ以下の点を意識してみてください。
・データから問題点を探って改善する
・どういうユーザーが遊んでくれるかを意識する
・ゲーム内における立ち位置を考える
この3点を意識するだけでも、だいぶゲームデザインの精度は上がるかと思います。
現場レベルの知識となるので、そこそこに役に立つかなと思います。
尚、企画書の作り方について興味がある方は、ぜひ自著も読んでみてください。
将来的にゲームプランナーをめざしている方へ
ゲームプランナーとしての制作スキルを身に付けたい方は、専門学校のゲームプランナー学科で勉強しておくと良いですよ。
企画書/仕様書/調整などプランナー業務に必要となる知識について実践的に学べるので。
アミューズメントメディア総合学院 は、ゲーム業界でも卒業生の方が多いので、進路先の候補として良いかなと思います。
それでは、今回はこんな感じで終わりたいと思います。